民家再生やリノベーションで、工事を進めていくと柱の足元が傷んでいることが良くあります。
そんな時、柱の足元をどうするか?と疑問に思う方もいると思います。
柱の足元が傷んでいる時は、柱そのものを取替える以外にも、伝統工法の加工をして、柱の痛んでいる所だけを取替える工法があります。
写真は伝統工法・金輪継ぎで柱の足元を新しい材に取替えました。
この金輪継ぎを分解してみるとどうなっているかと言うと、、、、、、、、
金輪継ぎは、双方とも加工の形は上の写真のようになり、同じ形になっている。
内側の面(下写真1)を接合させて、スライドさせて先端の凸凹(下写真2)を嚙合わせる。
意外と思うかもしれませんが、実は最後にかみ合わせた凸凹が非常に重要なんです。
スライドさせて出来た隙間に込栓(下写真)を打ち込んで完成。
これらの伝統工法は、建物を永く使い続けるための先人の知恵が詰まった技ですね。
今年の2月から始まりました淡路島の古民家を改修する案件が、ようやく、工事が始まりました。
日本の民家は、地域に合わせて家を造りっているので、地域によって形や様式が少しずつ違ってきます。
淡路島の古民家では、天井裏に竹木舞で編んだ天井を設けて、その竹木舞に土を乗せていました。
淡路島の方達は、それを「土天井」と呼んでいるそうです。
どうやら、暑さ対策のようです。
上の写真では、丸太梁の上にその土天井の竹木舞があります。
写真の状態は、土天井の土は撤去した状態です。
解体工事が進んで、力強いフレームが見えてきました。
完成が楽しみですね。
シルヴァカンヌ修道院も、以前紹介しました「ル・トロネ修道院」と同じく南フランス・プロヴァンス地方にたたずむ修道院です。
そして、プロヴァンスの三姉妹と称されるシトー会修道院の中の一つの修道院です。
シトー会の修道院建築ですので、教会堂の内部も回廊も装飾性がほとんど無く、合理的な建築物になっています。
採り入れる光も必要最低限の量になっていると思うほど、薄暗い空間になっています。
しかし、読書をするためのベンチには開口部が設けられており、読書に必要な明るさは確保されています。
「ル・トロネ修道院」のブログにも記載しましたが、修道院と言う用途において心落ち着かせる空間が求められており、
その為に一切の無駄をなくして表現された建築物だなぁと実感した建築物です。
住宅でも明るい部屋もあって、少し明るさを抑えた心落ち着く空間の両方が存在しても良いなぁと思います。
落ち着く居心地の良い家づくりを考えている方は、お問合せください。→ お問い合わせはこちら
もしくは、直接お電話ください。→ 080-9117-7194
お待ちしております。
暑い日が続きますね。
暑すぎて、外で遊ぶなんてことができないくらいですね。
熱中症にならないようにエアコンを運転させて、部屋の中で過ごす時間が長くなります。
そこで、エアコンの光熱費にも関係する断熱材について、ブログを書きます。
今日は、いろいろな断熱材がある中でセルロースファイバーについて書きます。
ちょうど、施工している現場の断熱材をセルロースファイバーにしました。
セルロースファイバーの中身は上の写真になります。
一体何かと言うと、新聞などの古紙を繊維状にしたものです。
繊維状にしているので、綿に似ています。
元々は古紙なので、パルプ材つまり植物系繊維です。
それを聞くと、エッ燃えないの?虫がつかないの?と思う方もいるかもしれません。
その辺もしっかり対策は出来ています。
古紙を繊維状にしてホウ酸系化合物を添加して難燃処理しています。
その為、火であぶっても表面が黒く焦げるだけで、火は出ません。
また、「ホウ酸」「虫」と聞くと、ひと昔前はホウ酸団子でゴキブリ駆除をしていました。
この様にホウ酸系化合物を添加して防虫効果もあるので、問題ありません。
この古紙を繊維状にしたものを、壁の表面に不織布を張って、その壁の中に吹き込みます。
吹き込む時は不織布に穴をあけてホースを突っ込んで、吹き込みます。
吹き込むと壁の中がパンパンに充填されます。
吹き込んだ後は、写真のように一つひとつ塞いでいきます。
この様に壁の中をパンパンに充填するので、断熱材を吹き込む前に設備の配管用の穴(上の写真の左上)や電気配線はやっておく必要がありますね。
セルロースファイバーの熱伝導率:0.040W/(m/k) 程度なので、断熱性能だけで言えばこれより断熱性能の良い断熱材はあります。
しかし、吹き込むことで隙間なく充填される事、パルプ繊維素材(自然素材に近い)である事やその他のメリットもあります。
素材がパルプ繊維なので、吸放湿性がある事。断熱材は中に湿気が入って結露してしまうと水分が含まれてしまうので、断熱性能が落ちてしまいます。
しかし、吸湿すると結露するリスクが減りますよね。
また、繊維状の材料がパンパンに充填されているので吸音性も高くなります。
これは実際に現場でセルロースファイバーを吹き込む前と吹き込んだ後では、外からの騒音量がかなり減ることを体感します。
ここまでの内容を読むとすごく良い断熱材の様に感じると思います。
確かに、優れている断熱材だと思いますが、他の断熱材と比較した時にどうしようか悩む点もあります。
それは、少し割高な価格である事。そして、先述しました様に断熱性能は決して優れている数値ではない事です。
断熱材の話は、調べるとたくさん出てきます。
そして、それらを読んでいくと結局どの断熱材が良いのか分からなくなってくると思います。
私が思うのは、どの断熱材にも一長一短ある。
断熱材に何を求めるのか!を明確にすることで断熱材が決まると思います。
例えば、自然素材を優先したい。結露による断熱低下のリスクを低くしたい。できるだけ外の騒音を軽減したい。というのであれば、
今回紹介したセルロースファイバーが良いと思います。
風とガレでは、一つの断熱材に限定せず、それぞれのお客様の家造りに適した断熱材を選んでいます。
家づくりをお考えの方は、ぜひご連絡ください。
お問い合わせはこちら → 民家再生リノベーション専門 一級建築士事務所 風とガレ(愛知県豊田市)
もしくは、直接お電話ください。080-9117-7194
お待ちしております。
足助の古民家リノベーションは、解体が終わり揚家工事が無事に終わりました。
これから、基礎工事に入っていきます。
さてここで、今回は揚家工事について書こうと思います。
揚家(あげや)とは、どんな工事かと言うと、読んで字のごとく「家を上げる」工事です。
えっ!!家って持ち上げることができるの??と思う方も多いと思いますが、曳家・揚家専門業者さんがいるくらい建築工事としては認識されています。
とはいっても、昭和の後半からは解体して建替えること普通になってしまったので、ほとんど揚家工事を観ることはなくなりました。
今回の物件は、重要伝統的建造物群保存地区の伝統的建造物に指定されているので、保存・修理をするために揚家をしました。
揚家工事をした写真がこちらです。
赤矢印のところが柱の足元です。家が持ち上がっていることが分かるでしょう。
今回の揚家は、柱と柱を鉄骨で両側から挟み込んで、その鉄骨を箱ジャッキで少しずつ持ち上げて、
枕木を1段ずつ鉄骨の下に積み上げて家全体を浮かすのです。
その時に使うジャッキが、先述の「箱ジャッキ」と呼ばれるものです。
油圧ジャッキと同じですが、これは建築工事用に作られたものです。
この箱ジャッキを使って持ち上げたんです。
建物全体を一度に揚げることはできないので、部分的に少しずつ揚げて、最終的に家全体が持ち上がるという訳です。
少しずつ持ち上げていく工事なので、揚家工事が無事に完了できたのは1週間後でした。
建物自体の損傷がかなり激しかったので、揚家工事している時に崩れないか不安でしたが、さすがは揚家専門業者さんですね。
無事に家を持ち上げる事ができました。
この後は、基礎工事と柱の足元の損傷があるところは新しい柱に継ぎます。
これらもまた、職人技です。楽しみですね。
上の写真を見て、「これは何か分かりますか?」と聞かれれば、多くの人は「鉋(かんな)」と言うでしょう。
そして、「誰が使う道具ですか?」と聞かれれば、「大工さん」と多くの人は答えるでしょう。
正解です。
ただ、鉋を使うのは大工さんだけではありません。他の職人さんも使う道具なのです。
今日は建具屋さんが使うちょっと変わった鉋を紹介します。
この鉋が変わっている所は削る刃が、鉋の細い面に付いている事です。
みなさんがイメージする鉋は最初に観ていただいた写真のように、広い面に削る刃が付いています。
もちろん、建具屋さんも広い面に刃が付いている鉋も使いますが、写真のように細い面に刃が付いている鉋も使っているんです。
この鉋であれば、角の端っこまで鉋で仕上げる事ができます。
実は建具って、繊細な建築のアイテムなんです。
だから、細くて隅までキッチリ仕上げる必要があるんですね。
大工さんの鉋と建具屋さんの鉋が違うように、他の職人さんの道具もその職業に求められる技術を可能にするためにいろいろな形をした道具があります。
それらを見るといろいろな工夫や知恵があって面白いですね。
みなさん、ゴールデンウィークはいかがお過ごしだったでしょうか。
私はおかげさまで、仕事で半分以上が終わってしまいましたが、
そんな中、京都市へ梨木神社とただいま公開中の風神雷神の屏風と葛飾北斎の富嶽三十六景などを観る目的で日帰り旅行に行きました。
風神雷神の屏風も葛飾北斎の富嶽三十六景もこの歳になったからなのか、言葉にできない感動でした。
また観たい!何度も観たい!ずっと観ていたい!という気持ちになりました。
そして、梨木神社がとても良かったんです。
梨木神社には「京都三名水」と呼ばれる「染井」がある神社なんです。
水の味の違いなんて、分かるほど違わないだろうと思って飲んでみたら、、、、、、、、
全然違った!!! 美味しい!!!
その水を使っているかどうか分かりませんが、境内の中にカフェがあり、縁側で一服のカフェをいただきました。
若葉の新緑がとても綺麗で贅沢な時間でした。
風とガレの設計には、いつもデッキを計画して庭で過ごす時間を持てるようにしています。
庭を愛でる時間を暮らしの中に持てると楽しい暮らしになると考えています。
久しぶりのブログになりますね。
2月から淡路島で古民家の改修するプロジェクトが始まりました。
改修する古民家を2月初めに見学に行き、改修することが決まりました。
古民家は昭和23年に建てられたもので、貫禄のある大黒柱やガッチリした丸太梁が健在でした。
そして、何と言っても、そのロケーションが抜群!
この写真は敷地西側の景色です。
高台にあるこの敷地からの眺望は、山々が見える合間に海が見えるんです。
山と海、そして気候の良いときであればその先の瀬戸内の島が見えるかもしれない。
きっと夕焼けが綺麗な時は絶景なのでしょう。
設計するのがとても楽しみです。
先日、地縄を張った現場の地盤調査を行いました。
実は、建築物を建てる時は地面も重要なんです。
地盤調査は何を調査しているかと言うと、建築物が建つ場所の地面の耐力を調べます。
建築物が建つ場所の地面の耐力が低いと建築物が完成してから、地面が建築物の重力に耐える事ができなくなって建築物が少しずつ沈下してしまうのです。
そのことを「不動沈下」と呼ばれています。
不動沈下が起こるとどうなるかと言うと、建築物が傾いてしまいます。
つまり、ピサの斜塔のようになってしまうのです。
ピサの斜塔は偶然にも塔の南側の地盤と北側の地盤の耐力が極端に違ったため、南側が沈んで北側はそのままとなり、斜めになってしまったのです。
この様に地面の耐力が低いと建築物が傾いてしまいます。
その様にならない為にも地面の耐力を調べて、建築物が完成した後も不動沈下しないように対策を取ります。
地面の耐力が高ければ、地面に基礎工事をします。
もし、地面の耐力が低ければ、地盤改良をして、地面の耐力を人工的に高くします。
地盤改良をすることで建築物が建ってからも不動沈下を起こさずに済みます。
風とガレは、お客様の大切な住宅を一つひとつ確認しながら工事を進めていきます。
今回のブログは久しぶりに建築作品の紹介です。
今回紹介するのは、岡崎市にある『伊賀八幡宮』です。
伊賀八幡宮は、岡崎城と徳川家と深い関りを持つ大樹寺を結ぶ南北の直線上のほぼ中央に位置します。
松平4代目の親忠公が1470年(文明2年)に松平家の守護神として創建されました。
現在の本殿は松平9代目の家康公の命で造営されたものと言われています。
家康公は崇敬していたため、大きな戦の前には必ず伊賀八幡宮を詣でられたそうです。
岡崎市の伊賀八幡宮は、権現造りになっています。
権現造りとは、日本の神社建築様式の1つで、本殿と拝殿の2棟の間に「石の間(いしのま)」と呼ばれる一段低い建物(幣殿)を設けてあり、屋根を一体化させた様式です。
前方は拝殿、後方が本殿となっている。
なので、上の写真は拝殿が写っています。
現地は写真を撮影した場所より中には入れないので、本殿の姿は見えません。
境内の鳥瞰案内図で、何とか屋根が一体化していることが分かる感じです。
岡崎市の伊賀八幡宮には、国の重要文化財(建造物)が8つもあります。
その中でも「随神門」は、鮮やかな彩色に彩られており、建築物としても大きくて圧巻です!
岡崎市の伊賀八幡宮には、もう1つ見るべきものが存在していました。
それは、、、、、、、、「さざれ石」です。
日本の国歌「君が代」に歌われている「さざれ石の巌となりて」にある「さざれ石」があるのです。
伊賀八幡宮へ行かれた時は、建築物だけでなく、こちらの「さざれ石」も観てくださいね。
いよいよ工事が始まる現場があります。
家を建てる時に最初にすることは、敷地に縄を張って家が建つ場所の位置を確認します。
それを、「地縄張り」と呼びます。
まずは、家の角になる2点を確定させます。
そして、その2点から外壁ラインに合わせて縄を張っていきます。
当然ですが、外壁の角が直角になるように縄を張っていかなければいけません。
どうやって直角にするかと言うと、大きな直角三角形を作って、角にその大きな直角三角形を当てて縄を張っていきます。
今の時代であれば、デジタル機器を使って地縄を張ることもできますが、昔ながらの方法で地縄を大工さんと張りました。
昔は藁縄などだったと思うのですが、今はビニール紐を使うことがほとんどです。
ビニール紐は白色なので、地縄を張ると見やすいです。
お客様に家の建つ位置を確認してもらったら、次は地盤調査です。
家を支える地盤を確認することも大切です。
昨年末に完成した足助町新町自治会の天王社さん。
本日、自治区の皆さんが参加されて、竣工式が行われました。
始まる少し前から雪交じりのみぞれが降る中の竣工式となりましたが、
大雨になることなく無事に終える事ができました。
みぞれの降る中の竣工式は、後年雑談の時に「あの時はみぞれが降って寒い日だったね~。」とみなさんの思い出に残ると思います。
足助町新町のみなさん、天王社竣工、おめでとうございます。