「なまこ壁」って何のため?2018年01月29日

前回は、土蔵がいつ頃から
建てられる様になったのか
について書きました。
今日は、土蔵によく見かける
『なまこ壁』について書きます。

 

まず、『なまこ壁」』とは何?
と言う方もいると思います。

上記写真の漆喰(土蔵の白い部分)下の
黒い部分が『なまこ壁』です。
この部分は、特に風雨が吹き付ける部分なので、
写真の様に瓦を壁に張り巡らして、
補強しているのです。
この様な造りは、全国的に見られるますが、
岡山県倉敷市などは
美しいなまこ壁の町としても知られています。

 

なぜ『なまこ壁』という名前が付いたかというと
瓦と瓦の隙間(目地)を蒲鉾型に
盛り上げた漆喰の断面が海鼠(なまこ)型に
なっているところから名付けられたそうです。
この目地部分を漆喰で盛り上げる方法に
なったのは、目地部分から水が浸透して
瓦の裏に水が回って、剥離を早めるのを
防ぐためです。

 

『なまこ壁』には斜めに瓦を張った意匠が
多く見られますが、上記の写真の様に
竪目地を交互にした馬乗り目地のものもあります。
しかし、斜めに張った方が目地の水はけが
良くなると考えられたので、斜めに張る
『四半貼り』が一般的な形として広まったそうです。

(参考文献:滅びゆく民家 屋根・外観)

 

 


土蔵っていつからあるの?2018年01月18日

昔ながらの家々が建ち並ぶ街並みを
歩いていると土蔵をよく見かけます。
土蔵はその名の通り蔵ですから、
大切なものを保管しておく建物です。

歴史的街並み、土蔵、蔵造り
米蔵、道具蔵などの様に保管するもので
蔵の名前が付いたりしていました。

 

日本建築で大切なものを保管する建物と
言われてパッと思い浮かべるのは、
この土蔵だと思います。
しかし、古くは校倉造りで有名な
正倉院も当時の宝物を保管する建物でした。
木造の倉庫からいつの間にか土壁の倉庫に
変わっていました。

 

外装塗篭仕上げの蔵が記録として残っているのは、
平安時代末期の公卿である藤原頼長の日記と
言われている『台記』に記載されている。
それには、自邸内に文倉を建てた。
その文倉の四壁はすべて板で作られ、
その上に直接石灰を塗ったことが記されているそうです。
これは、板壁に石灰を塗っただけのもので、
土蔵の様に厚壁にはなっていません。
しかし、外装塗篭の発想が土壁工法の土蔵に
発展したと考えられています。
頼長の文倉から約一世紀半後の
『春日権現験記絵巻』(鎌倉時代の絵巻物)の中に
後年の土蔵と同じものが描かれています。
この時代には、もう土蔵になっていたのですね。

(参考文献:物語 ものの建築史 日本壁のはなし)


矢作新報で紹介されました!!!2018年01月10日

豊田市・みよし市を中心に
様々なグループ・人・企業の活動、
地域の抱える問題まで多岐にわたって
発信している地域紙・矢作新報さんの
本日発刊紙に、風とガレが紹介されました。

 

風とガレは、民家再生を専門としている建築設計事務所です。
今回の記事を書いていいただくにあたり、
取材を受けて民家再生について話をしました。
そうしたらその時の記者さんが
「民家再生はイメージしていたより、
暮らしやすく出来るんですね。」と言われていました。

 

恐らく多くの方は、民家再生というと保存しないといけない!
と思われているのではないでしょうか。
実は、もっと柔軟なことなんです。
床暖房を入れても良いし、オール電化にしても良い。
暗ければ天窓を設け部屋の奥まで
明るくなるようにすれば良いのです。
今までも民家はその時代の暮らし方に合わせて、
形や仕様を変化させてきたのです。
ですから、今まで通り
現代の暮らし方に合わせて、保存していけば良いのです。

 

また別のケースでも、リノベーション・再生工事は有効です。
例えば、新築して30年が経過した住宅がある。
その住宅を、リノベーション・再生工事をして、
新しい暮らしをすることもできます。
中古住宅を購入してリノベーション・再生工事をする。
小さかった子供達が巣立って行って、
夫婦の終の棲み家にリノベーション・再生工事する。
いろいろなケースでリノベーション・再生工事があります。
相談は無料ですので、ちょっとでも興味がありましたら
ぜひご相談ください。お待ちしております。

 


日本建築の大きな特徴!2018年01月09日

明けましておめでとうございます。
今年も日本建築のこと、建築の性能のこと等々
いろいろと建築のおもしろ話、
まじめ話を綴っていこうと思います。
どうぞお楽しみにしていてください。

 

早速ですが、今日は日本建築の
基本的な構造について
お話をしようと思います。
建築の造りをみていくと、
架構式構造
組積式構造
一体式構造

上記の3通りに分けられます。

 

架構式構造は、柱や梁などの
細長い部材を組み立てて建築物の
躯体を骨格状に建てていく方法。
木造や鉄骨造がこれに分類されます。
壁がなくても建てることが出来る。

架構式構造、日本建築

 

組積式構造は、ブロック(塊)状の
材料を積み上げて躯体を作る方法。
石造や煉瓦造がこれに分類されます。

組積構造、ル・トロネ修道院

 

一体式構造は、柱・梁や床など
建物全体を連続する一体の構造物と方法。
鉄筋コンクリート造がこれに分類されます。

 

これからすると日本建築は、
ほぼ架構式構造で建てられています。
ではなぜ、日本では架構式構造が
採用されて発展してきたのでしょうか。

 

まずは日本列島には、杉・桧といった
森林資源が豊富に存在し、
架構式構造にとって良質な材料となったこと。
そして、柱・梁で構成されるため
風通しの良い建築をつくるのに適していたこと。
日本の気候において高温多湿の夏季には、
現代みたいに機械的冷房がない時代では
通風がとても重要でした。

 

上記の理由だけではないと思いますが、
これらが大きな要因ではあったようです。
日本建築にはこの架構式構造の特徴を
上手に使って自然と暮らしを繋げています。
それはまた別の機会にお話しします。
(参考文献:物語 ものの建築史 日本壁のはなし)