軒下の工作・駒寄せ2018年02月13日

道路に沿った町家などで建物と
道路際の軒下部分に人が建物に
近寄らないように、柵が設置して
あることがあります。
これを『駒寄せ』と呼んでいます。
ならまち、駒寄せ

『駒寄せ』は、近畿を主とする西日本に多いそうです。
この『駒寄せ』を設置する目的は、
棒切れの先で格子をカタカタ鳴らしたり、
壁などに悪戯するのを防ぐためのもの。

『駒寄せ』は高さ1メートル内外の低目の柵です。

駒寄せ

写真は駒寄せを横から見たところ。

 

また脚元の腐朽しないように対策の仕方もいろいろです。
柱に沓石をはかせておき、
三本の貫で組んで、中四本を浮かせている駒寄せや、

腐朽対策の駒寄せ

土台を回してその上で組んでいる駒寄せなどがあります。

駒寄せ

その他にも人の背丈ほどあるものもありますが、
それは『大阪出格子』と呼ばれています。
写真の様に出入口の前も柵を作って、
出入口部分を上吊りレールで、
引き戸としているものもある。
大阪出格子

こうして見ていると、日本建築を彩るいろいろな工作があるけれど、
どれもちゃんと意味を持っているのですね。

(参考文献:滅びゆく民家 屋根・外観)

 

 

 

 


屋根のかたち【切妻屋根】2018年02月09日

日本建築を見ていると意匠に
大きく関わってくる要素の一つとして、
屋根があります。
屋根にも色々な形があるので、
その屋根の形を紹介します。

今日紹介するのは、現代の家でも
一般的に目にする形の『切妻屋根』です。
切妻屋根は、厚紙を二つ折りにして、
二方向に雨が流れ落ちる様にした屋根のことを言います。

奈良井宿 切妻屋根

屋根の形の中で最も単純な形です。
切妻屋根の、雨の流れ落ちる屋根面を『平』と呼び、
側面の三角形に見える面を『妻』と呼びます。

同じ切妻屋根でも地方の特徴もあります。
全国的にも有名な飛騨地方の『合掌造り』
切妻屋根ですね。

切妻屋根、合掌造り

また、下の写真の様に屋根のてっぺん(棟部分)を瓦、
裾を板金葺き(昔は茅葺きとしていた)として
勾配を変えた切妻屋根です。
この形の切妻屋根は、大和・河内地方の『台棟造り』
呼ばれる切妻屋根です。

切妻屋根、大和棟造り

その他にも、信州地方の『本棟造り』なども有名です。
(写真がなくてすみません。)
また、こんな小さなところでも…。

塀の屋根、切妻屋根

地方によっていろいろな形の屋根を見る事が出来るので、
旅行に行ったときなどは、気にしてみてみるとおもしろいですよ。

(参考文献:滅びゆく民家 屋根・外観)


塗り家造りとむしこ窓!2018年02月03日

日本建築の外観は柱が見えていて、
その間に壁がある(真壁)スタイルを
思い浮かべる人がほとんどだと思います。
しかし、柱の外側に壁を塗って、
柱を壁で覆ってしまう(大壁)スタイルも
よく見てみると見掛けます(塗り家造り)。

これは民家が密集するようになり、
防火を目的として延焼しやすい軒裏の
板や垂木まで全てを塗り込んだそうです。
中二階風の部分の窓には、
土塗り格子をはめ込んであります。
この窓を『むしこ窓』といいます。

 

その中二階風の建て方でその屋根裏を
『厨子二階』とか『小二階』などと呼んでいますが、
この屋根裏二階の通気孔として開けられたのが
むしこ窓の発生だろうと言われています
むしこ窓も写真の様に丸窓に横貫にした意匠のものや
玉をかたどった意のものもあります。

関西の方では、下の写真の様な
火灯窓風の輪郭の意匠も多くみられるようです。

その他にもいろいろな意匠のものが見られます。


何気なく通り過ぎてしまう街並みも
よく見るといろいろと個性があって
おもしろいですよね。
(参考文献:滅びゆく民家 屋根・外観)