道路に沿った町家などで建物と
道路際の軒下部分に人が建物に
近寄らないように、柵が設置して
あることがあります。
これを『駒寄せ』と呼んでいます。
『駒寄せ』は、近畿を主とする西日本に多いそうです。
この『駒寄せ』を設置する目的は、
棒切れの先で格子をカタカタ鳴らしたり、
壁などに悪戯するのを防ぐためのもの。
『駒寄せ』は高さ1メートル内外の低目の柵です。
写真は駒寄せを横から見たところ。
また脚元の腐朽しないように対策の仕方もいろいろです。
柱に沓石をはかせておき、
三本の貫で組んで、中四本を浮かせている駒寄せや、
土台を回してその上で組んでいる駒寄せなどがあります。
その他にも人の背丈ほどあるものもありますが、
それは『大阪出格子』と呼ばれています。
写真の様に出入口の前も柵を作って、
出入口部分を上吊りレールで、
引き戸としているものもある。
こうして見ていると、日本建築を彩るいろいろな工作があるけれど、
どれもちゃんと意味を持っているのですね。
(参考文献:滅びゆく民家 屋根・外観)
日本建築を見ていると意匠に
大きく関わってくる要素の一つとして、
屋根があります。
屋根にも色々な形があるので、
その屋根の形を紹介します。
今日紹介するのは、現代の家でも
一般的に目にする形の『切妻屋根』です。
切妻屋根は、厚紙を二つ折りにして、
二方向に雨が流れ落ちる様にした屋根のことを言います。
屋根の形の中で最も単純な形です。
切妻屋根の、雨の流れ落ちる屋根面を『平』と呼び、
側面の三角形に見える面を『妻』と呼びます。
同じ切妻屋根でも地方の特徴もあります。
全国的にも有名な飛騨地方の『合掌造り』も
切妻屋根ですね。
また、下の写真の様に屋根のてっぺん(棟部分)を瓦、
裾を板金葺き(昔は茅葺きとしていた)として
勾配を変えた切妻屋根です。
この形の切妻屋根は、大和・河内地方の『台棟造り』と
呼ばれる切妻屋根です。
その他にも、信州地方の『本棟造り』なども有名です。
(写真がなくてすみません。)
また、こんな小さなところでも…。
地方によっていろいろな形の屋根を見る事が出来るので、
旅行に行ったときなどは、気にしてみてみるとおもしろいですよ。
(参考文献:滅びゆく民家 屋根・外観)
日本建築の外観は柱が見えていて、
その間に壁がある(真壁)スタイルを
思い浮かべる人がほとんどだと思います。
しかし、柱の外側に壁を塗って、
柱を壁で覆ってしまう(大壁)スタイルも
よく見てみると見掛けます(塗り家造り)。
これは民家が密集するようになり、
防火を目的として延焼しやすい軒裏の
板や垂木まで全てを塗り込んだそうです。
中二階風の部分の窓には、
土塗り格子をはめ込んであります。
この窓を『むしこ窓』といいます。
その中二階風の建て方でその屋根裏を
『厨子二階』とか『小二階』などと呼んでいますが、
この屋根裏二階の通気孔として開けられたのが
むしこ窓の発生だろうと言われています
むしこ窓も写真の様に丸窓に横貫にした意匠匠のものや
玉をかたどった意のものもあります。
関西の方では、下の写真の様な
火灯窓風の輪郭の意匠も多くみられるようです。
その他にもいろいろな意匠のものが見られます。
何気なく通り過ぎてしまう街並みも
よく見るといろいろと個性があって
おもしろいですよね。
(参考文献:滅びゆく民家 屋根・外観)