日本建築の屋根に使っている材料と言うと
すぐに思い浮かぶのは瓦ではないでしょうか。
西洋建築の屋根にも瓦と同じ様な
材料が使われています。
日本建築では最近見掛けることが少なくなりましたが、
寺院建築や昔の土蔵などで見かける瓦を本瓦葺きと呼びます。
瓦の大きな役目の一つは
降ってきた雨を建物の外に流すこと。
土を練って湾曲させて焼いた瓦を
屋根に並べます。
瓦と瓦の間の隙間に
雨が入っては困るので、
蓋をするように半円形に
焼いた瓦を被せています。
西洋建築の屋根は半円形に焼いた瓦を
上下交互に並べているようです。
その瓦の先端はちょっと違います。
日本建築の本瓦葺きは
半円形の先に円形の蓋を付けた
形になっており、その円形部分に
家紋や文字、三ツ巴などの
意匠性を意識しているのに対して、
西洋建築の屋根は半円形の先に
漆喰に似たものを詰めているだけです。
どちらも湾曲もしくは半円形にして
底面を通して雨を建物の外に
流すことには変わりないですよね。
日本建築と西洋建築では
違う部分もありますが、
似ている部分もあるんですね。
日本建築の調査をしていると
時どき職人の凄い技術を
目の当たりにして、
感動することがあります。
その一つに『ねじぐみ』があります。
残念ながら私も数回しか
お目にかかれていないので、
写真はありません。
では、『ねじぐみ』とは
どんな技術なのかというと
格子や組子を組む際、
組み手を縦横すべて隣同士が
裏返しになるように、
つまり、竹かごを編むように組む方法です。
格子や組子は竹のように曲がらないので、
普通には当然組めません。
そこでまるでパズルを解くように
考案されたのが『ねじぐみ』なのです。
昔は糊の粘着力が現代ほど強くないため、
組子が外れ易くなってしまうのを、
『ねじぐみ』によって外れ難くする工夫と
言われたりもしています。
ただ、実際の『ねじぐみ』の組み方を見ると、
組子の8割も欠いてしまうと
その意見は当たらないとして、
意匠としてやったのではないかと
いう意見もあります。
意匠だけなら、日本に限らず西洋にも
『ねじぐみ』と同じように隣同士が
裏返しになる組方を見つけました。
イタリア・ヴェローナにあるカルロスカルパ設計の
カステルベッキオ美術館で建具の格子です。
この建具はスチールでできているので、
組むのは容易にできたと思います。
その為、意匠として『ねじぐみ』を
使っているのでしょう。
曲げるのが容易でない、
木材で知恵を振り絞って組んだ
組子を見つけるとすごい技に
感動すら覚えます。
みなさんも、格子や障子の組子を
見る時、気にしてみてるとひょっとすると、
『ねじぐみ』に出会えるかもしれませんね。
1週間前になりますが、
今までにないほどの強風で
日本列島に上陸した台風21号!
凄まじい強風で、
今まで見たことのない映像が
ニュースで流れていましたね。
台風が来る予報が来ると
「風で物が飛ばされる」と言って
家の周りにあるものを
物入に片づけるなどすると思います。
年配の方などは「瓦が飛んでくる」
と思っている方もおられるようです。
実際昔は瓦は屋根に乗せているだけだったので、
その発想は間違っていません。
屋根の上に土を敷いて、
その土の上に瓦を重ねながら葺いていくのが、
一般的でした。
ですから、瓦の自重と重ねてある上の
瓦の重さだけで何も留めていないのです。
下にある土が滑り止めの
役目をしていたと思われます。
上の写真は瓦を取った状態。
瓦の下には土がある。
しかし、近年では屋根の板の上に
瓦を引っ掛ける桟木を取付けて、
その桟木に釘で留めています。
上の写真の瓦に真ん中下辺りに穴が開いています。
この穴に釘を通して下の桟木に留めます。
釘で留めるので、滑ることもないですし、
外れることもありません。
また、昔みたいに土を敷くと
土の重さも荷重として家の構造に影響します。
近年では土を敷かなくなり、
屋根の重さも土の分だけ軽くなったので、
構造面でもより安全になりました。
昔の瓦葺きとは違うので、
恐らく瓦が飛んでくると
言うようなことはないと思います。
しかし、先日の様な凄まじい台風ですと
必ずしも飛ばないとは言い難いですね。
ただ、そう簡単には飛ばなくなっていることは
間違いないですよ。
先日マンションリノベーションで
収納を増やすことについて書きました。
本日はもう一つの目的として
内装仕上げをリノベーションして、
調湿機能を充実させることがありました。
既設の内装仕上げはクロス貼りだったので、
自然素材で調湿性の高い素材で仕上げました。
まず、エコカラットプラスという
タイルを使いました。
エコカラットプラスやエコカラットは
日本建築の土壁の素材を目指して
出来たタイルです。効果として、
1.調湿性能
2.ニオイの吸着・脱臭・軽減性能
3.シックハウス対策
4.お手入れ簡単(*エコカラットプラスのみ)
上記の効果があります。
そのエコカラットプラスを
部屋の一番大きな壁一面に貼りました。
大きな面積の壁一面に貼るので、
できるだけ表情の大人しいデザインを
選んで部屋として落ち着いた雰囲気になりました。
また、この壁と反対側にあるダイニングの
壁にはアクセントとして一部分に貼っています。
では、それ以外の壁と天井の仕上げは、
何で仕上げたかというと、
今回はドイツ本漆喰を使いました。
この素材を選んだ理由は、
仕上げる前工事に厚みのある専用紙を
下地として貼るのですが、
この紙も調湿性能もあるということで、
1㎡あたり約100ml の吸湿できるからです。
この素材で壁・天井すべてを仕上げました。
色もお施主様の好みと家具などの色合いなど
空間全体のまとまる様に考えて決めたので、
引き渡しの時には、お施主様に喜んでいただけました。
風とガレでは、戸建てのリノベーションだけでなく、
マンションのリノベーションもやってますよ!