暖かい日も増えてきて、過ごしやすい季節になってきましたね。
庭の花や樹も芽吹いてきたり、花が咲き始めてきました。
ジンチョウゲの香りも魅力的です。
建築の仕事をするようになって季節の植物を
多く知るようになりました。
それは建築を設計する時に外部と内部の関係性を
強く意識するようになったからです。
日本建築をみても、魅力ある建築物は
自然を内部に上手く取り込んでいます。
日本の文化には、自然を愛でる楽しみがありますからね。
風とガレが設計する時には、
外部の自然と内部で過ごす人たちの繋がり
も意識して設計します。
その為、外構の設計も承っています。
昨日、外構工事の移植をしました。
3月中旬から4月中旬頃は移植に適した時期です。
必ずしもこの時期でないとダメということはありません。
10月から11月頃でも大丈夫です。
それでも、梅雨明けてから猛暑となる時期や
寒くて土が凍結するような時期に根を傷めるのは
避けるべきですね。
もうしばらくすれば桜の咲く季節ですね。
桜を愛でると気分もウキウキして、
新しいことの始まりが楽しみになりますよね。
実は何となく気になっていたのですが、
多くの人は設計事務所に設計を依頼すると
高くなると思っているのではないでしょうか。
先日ある方とお話をしている時に
設計事務所に依頼すると良いことは何?という
話題になって幾つか良いことを伝えたのですが、
その中で、工務店やハウスメーカーに依頼するのと
合計金額はほぼ同じになる事に驚いていました。
『設計費』という項目だけを比べると
設計事務所の金額が高くなりますが、
工務店は自社のお客様の工事金額と
設計事務所のお客様の工事金額は違います。
なぜかというと、自社のお客様の工事金額には
宣伝広告などの営業経費が含まれているからです。
しかし、設計事務所のお客様は営業経費をかけていない
物件になるので営業経費が含まれないことがあります。
また、設計事務所に依頼すると
工事金額を数社から見積りを取るので、
その中から適正な金額を選べます。
その結果、工務店自社のお客様の
工事金額よりお値打ちになります。
風とガレの費用は工事請負金額に対しての割合です。
風とガレで設定している割合であれば、
工事金額と設計事務所の費用を合計すると
ほとんど同じになります。
その他の良いこともまたブログで
お伝えしていきますので、楽しみにしていてください。
報告が遅くなってしまったのですが、
先日スカイホール豊田で開催されました
『WE LOVE とよたフェスタ』に出展しました。
その時にエントリーした『WE LOVE とよたアワード』で
なっ、何と!表彰されました。
一級建築士事務所『風とガレ』は日本建築の魅力を
みんなに伝えていきたいと言う想いで
民家再生・リノベーション専門の設計事務所として
昨年秋に開設しました。
その取組みの中で、日本建築の魅力やおもしろポイントを
解説した活動が評価されたのだと思います。
これからも生まれ育った豊田市を中心に
日本建築の魅力を多くの人に伝えられるように頑張ります。
先日、『屋根のかたち【切妻屋根】』のブログの時に
本棟造りの写真だけ掲載できませんでした。
遅くなりましたが、本棟造りの写真を撮る事が
出来ましたので掲載します。
重要文化財の民家を訪れると文化財になるだけのことあって
建物の規模も大きくなりますし、貫禄も違ってきます。
しかし、それだと日常の物から離れてしまう気がしました。
そんな中、信州地方に出掛けた時に一般の住宅で、
本棟造りを見かけました。
最近となっては、見掛けることもなくなっていると思っていたのですが、
こうして日常風景の中に見かけると出掛けるのが楽しくなりますよね。
日本建築のおもしろ話やまじめ話を書いていきますので、
普段の景色や旅行先での景色を少し気にして見てください。
きっと何か見つけることができると思いますよ。
上の写真では、少し横からになってしまっているので、
裏側の写真になってしまいますが、もう少し本棟造りが
見える写真を掲載します。
先日、現在計画中のお客様と
ショールームに行ってきました。
今回は、日常では毎日使うキッチン、お風呂などの
水回り設備と窓・玄関ドアを確認しました。
これらの設備機器は日々進歩していて、
機能・性能が充実しています。
特に窓回りの商品は、ゼロエネルギー住宅など
省エネ住宅に注目が集まっているため
性能も格段に上がっています。
私達のように仕事で関わっていると
それらを知ることができますが、
そうでないとなかなか知ってもらえないので、
この様に皆さんに見てもらい、理解していただく
良い機会になりました。
しかし、いろいろ便利な機能が
過剰になっていることも間違いありません。
また、その位なら大丈夫かなと思えるような
絶妙な価格設定になっているのです。
ショールームで説明を聞いていると
ついつい欲しくなってしまって、
見積書が届くと『えッ~!!』と
なってしまうことがよくあります。
そんな事がない様に、今までいろんなお客様と
決めてきた経験からおすすめプランをご提案してから
ショールームに行くようにしています。
そして、実際にお客様に見てもらって、
本当に必要あるかないかを打合せをして決めます。
そうする事で目が飛び出るような金額になりません。
キッチン、お風呂などの設備機器も決まり、
いよいよ実施設計も大詰めになってきました。
お客様もいよいよといった感じになってきました。
着工するのが、楽しみにです。
道路に沿った町家などで建物と
道路際の軒下部分に人が建物に
近寄らないように、柵が設置して
あることがあります。
これを『駒寄せ』と呼んでいます。
『駒寄せ』は、近畿を主とする西日本に多いそうです。
この『駒寄せ』を設置する目的は、
棒切れの先で格子をカタカタ鳴らしたり、
壁などに悪戯するのを防ぐためのもの。
『駒寄せ』は高さ1メートル内外の低目の柵です。
写真は駒寄せを横から見たところ。
また脚元の腐朽しないように対策の仕方もいろいろです。
柱に沓石をはかせておき、
三本の貫で組んで、中四本を浮かせている駒寄せや、
土台を回してその上で組んでいる駒寄せなどがあります。
その他にも人の背丈ほどあるものもありますが、
それは『大阪出格子』と呼ばれています。
写真の様に出入口の前も柵を作って、
出入口部分を上吊りレールで、
引き戸としているものもある。
こうして見ていると、日本建築を彩るいろいろな工作があるけれど、
どれもちゃんと意味を持っているのですね。
(参考文献:滅びゆく民家 屋根・外観)
日本建築を見ていると意匠に
大きく関わってくる要素の一つとして、
屋根があります。
屋根にも色々な形があるので、
その屋根の形を紹介します。
今日紹介するのは、現代の家でも
一般的に目にする形の『切妻屋根』です。
切妻屋根は、厚紙を二つ折りにして、
二方向に雨が流れ落ちる様にした屋根のことを言います。
屋根の形の中で最も単純な形です。
切妻屋根の、雨の流れ落ちる屋根面を『平』と呼び、
側面の三角形に見える面を『妻』と呼びます。
同じ切妻屋根でも地方の特徴もあります。
全国的にも有名な飛騨地方の『合掌造り』も
切妻屋根ですね。
また、下の写真の様に屋根のてっぺん(棟部分)を瓦、
裾を板金葺き(昔は茅葺きとしていた)として
勾配を変えた切妻屋根です。
この形の切妻屋根は、大和・河内地方の『台棟造り』と
呼ばれる切妻屋根です。
その他にも、信州地方の『本棟造り』なども有名です。
(写真がなくてすみません。)
また、こんな小さなところでも…。
地方によっていろいろな形の屋根を見る事が出来るので、
旅行に行ったときなどは、気にしてみてみるとおもしろいですよ。
(参考文献:滅びゆく民家 屋根・外観)
日本建築の外観は柱が見えていて、
その間に壁がある(真壁)スタイルを
思い浮かべる人がほとんどだと思います。
しかし、柱の外側に壁を塗って、
柱を壁で覆ってしまう(大壁)スタイルも
よく見てみると見掛けます(塗り家造り)。
これは民家が密集するようになり、
防火を目的として延焼しやすい軒裏の
板や垂木まで全てを塗り込んだそうです。
中二階風の部分の窓には、
土塗り格子をはめ込んであります。
この窓を『むしこ窓』といいます。
その中二階風の建て方でその屋根裏を
『厨子二階』とか『小二階』などと呼んでいますが、
この屋根裏二階の通気孔として開けられたのが
むしこ窓の発生だろうと言われています
むしこ窓も写真の様に丸窓に横貫にした意匠匠のものや
玉をかたどった意のものもあります。
関西の方では、下の写真の様な
火灯窓風の輪郭の意匠も多くみられるようです。
その他にもいろいろな意匠のものが見られます。
何気なく通り過ぎてしまう街並みも
よく見るといろいろと個性があって
おもしろいですよね。
(参考文献:滅びゆく民家 屋根・外観)
前回は、土蔵がいつ頃から
建てられる様になったのか
について書きました。
今日は、土蔵によく見かける
『なまこ壁』について書きます。
まず、『なまこ壁」』とは何?
と言う方もいると思います。
上記写真の漆喰(土蔵の白い部分)下の
黒い部分が『なまこ壁』です。
この部分は、特に風雨が吹き付ける部分なので、
写真の様に瓦を壁に張り巡らして、
補強しているのです。
この様な造りは、全国的に見られるますが、
岡山県倉敷市などは
美しいなまこ壁の町としても知られています。
なぜ『なまこ壁』という名前が付いたかというと
瓦と瓦の隙間(目地)を蒲鉾型に
盛り上げた漆喰の断面が海鼠(なまこ)型に
なっているところから名付けられたそうです。
この目地部分を漆喰で盛り上げる方法に
なったのは、目地部分から水が浸透して
瓦の裏に水が回って、剥離を早めるのを
防ぐためです。
『なまこ壁』には斜めに瓦を張った意匠が
多く見られますが、上記の写真の様に
竪目地を交互にした馬乗り目地のものもあります。
しかし、斜めに張った方が目地の水はけが
良くなると考えられたので、斜めに張る
『四半貼り』が一般的な形として広まったそうです。
(参考文献:滅びゆく民家 屋根・外観)
昔ながらの家々が建ち並ぶ街並みを
歩いていると土蔵をよく見かけます。
土蔵はその名の通り蔵ですから、
大切なものを保管しておく建物です。
米蔵、道具蔵などの様に保管するもので
蔵の名前が付いたりしていました。
日本建築で大切なものを保管する建物と
言われてパッと思い浮かべるのは、
この土蔵だと思います。
しかし、古くは校倉造りで有名な
正倉院も当時の宝物を保管する建物でした。
木造の倉庫からいつの間にか土壁の倉庫に
変わっていました。
外装塗篭仕上げの蔵が記録として残っているのは、
平安時代末期の公卿である藤原頼長の日記と
言われている『台記』に記載されている。
それには、自邸内に文倉を建てた。
その文倉の四壁はすべて板で作られ、
その上に直接石灰を塗ったことが記されているそうです。
これは、板壁に石灰を塗っただけのもので、
土蔵の様に厚壁にはなっていません。
しかし、外装塗篭の発想が土壁工法の土蔵に
発展したと考えられています。
頼長の文倉から約一世紀半後の
『春日権現験記絵巻』(鎌倉時代の絵巻物)の中に
後年の土蔵と同じものが描かれています。
この時代には、もう土蔵になっていたのですね。
(参考文献:物語 ものの建築史 日本壁のはなし)
豊田市・みよし市を中心に
様々なグループ・人・企業の活動、
地域の抱える問題まで多岐にわたって
発信している地域紙・矢作新報さんの
本日発刊紙に、風とガレが紹介されました。
風とガレは、民家再生を専門としている建築設計事務所です。
今回の記事を書いていいただくにあたり、
取材を受けて民家再生について話をしました。
そうしたらその時の記者さんが
「民家再生はイメージしていたより、
暮らしやすく出来るんですね。」と言われていました。
恐らく多くの方は、民家再生というと保存しないといけない!
と思われているのではないでしょうか。
実は、もっと柔軟なことなんです。
床暖房を入れても良いし、オール電化にしても良い。
暗ければ天窓を設け部屋の奥まで
明るくなるようにすれば良いのです。
今までも民家はその時代の暮らし方に合わせて、
形や仕様を変化させてきたのです。
ですから、今まで通り
現代の暮らし方に合わせて、保存していけば良いのです。
また別のケースでも、リノベーション・再生工事は有効です。
例えば、新築して30年が経過した住宅がある。
その住宅を、リノベーション・再生工事をして、
新しい暮らしをすることもできます。
中古住宅を購入してリノベーション・再生工事をする。
小さかった子供達が巣立って行って、
夫婦の終の棲み家にリノベーション・再生工事する。
いろいろなケースでリノベーション・再生工事があります。
相談は無料ですので、ちょっとでも興味がありましたら
ぜひご相談ください。お待ちしております。
明けましておめでとうございます。
今年も日本建築のこと、建築の性能のこと等々
いろいろと建築のおもしろ話、
まじめ話を綴っていこうと思います。
どうぞお楽しみにしていてください。
早速ですが、今日は日本建築の
基本的な構造について
お話をしようと思います。
建築の造りをみていくと、
架構式構造
組積式構造
一体式構造
上記の3通りに分けられます。
架構式構造は、柱や梁などの
細長い部材を組み立てて建築物の
躯体を骨格状に建てていく方法。
木造や鉄骨造がこれに分類されます。
壁がなくても建てることが出来る。
組積式構造は、ブロック(塊)状の
材料を積み上げて躯体を作る方法。
石造や煉瓦造がこれに分類されます。
一体式構造は、柱・梁や床など
建物全体を連続する一体の構造物と方法。
鉄筋コンクリート造がこれに分類されます。
これからすると日本建築は、
ほぼ架構式構造で建てられています。
ではなぜ、日本では架構式構造が
採用されて発展してきたのでしょうか。
まずは日本列島には、杉・桧といった
森林資源が豊富に存在し、
架構式構造にとって良質な材料となったこと。
そして、柱・梁で構成されるため
風通しの良い建築をつくるのに適していたこと。
日本の気候において高温多湿の夏季には、
現代みたいに機械的冷房がない時代では
通風がとても重要でした。
上記の理由だけではないと思いますが、
これらが大きな要因ではあったようです。
日本建築にはこの架構式構造の特徴を
上手に使って自然と暮らしを繋げています。
それはまた別の機会にお話しします。
(参考文献:物語 ものの建築史 日本壁のはなし)