イタリア・ヴェローナにある古城を改修した美術館2018年10月03日

先日『ねじぐみ』について書いたときに
イタリアの建築家・カルロスカルパ
作品に使われている建具も紹介しました。
そのカルロスカルパの改修作品を
学生時代に見に行ってきましたので、
その時の写真と共に紹介します。

 

この作品は、イタリア・ヴェローナにあります。
改修前の建物は14世紀に
カングランデ2世によってつくられた古城を
カルロスカルパが美術館に改修したのです。

この改修でカルロスカルパ
古いものと新しいものを併置しています。
見ていて新旧の対比が
とても面白く感じる空間になっていました。

また、昔の開口部と現代の開口部は
当然技術が発達して作りそのものが
変わってきている部分をどの様に
改修しているのか気になって、
その部分を見てみると

 

14世紀にはまだガラスという素材がなかったと思います。
現代では開口部にガラスは必須ですよね。
そのガラスを建物の内側に取り付けて、
外観は昔のままに見える工夫が感じられました。
『昔からのイメージを崩さずに、
現代の技術を取り込み用途に合わせて活用する。』
これが改修の大きな魅力ですよね。

 

そうそう、改修の時に前々回のブログ紹介した
ねじぐみ格子の建具を取り入れています。

開口部の内側に入れています。
こうして見るととても、素敵ですよね。
カルロスカルパは、伝統的日本建築にも
高い関心があったそうですよ。
この格子も伝統的日本建築の影響かも…。


イタリア・カルロスカルパの設計にも使われている技術「ねじぐみ」!2018年09月18日

日本建築の調査をしていると
時どき職人の凄い技術
目の当たりにして、
感動することがあります。
その一つに『ねじぐみ』があります。
残念ながら私も数回しか
お目にかかれていないので、
写真はありません。

 

では、『ねじぐみ』とは
どんな技術なのかというと
格子や組子を組む際、
組み手を縦横すべて隣同士が
裏返しになるように、
つまり、竹かごを編むように組む方法です。
格子や組子は竹のように曲がらないので、
普通には当然組めません。
そこでまるでパズルを解くように
考案されたのが『ねじぐみ』なのです。
昔は糊の粘着力が現代ほど強くないため、
組子が外れ易くなってしまうのを、
『ねじぐみ』によって外れ難くする工夫と
言われたりもしています。
ただ、実際の『ねじぐみ』の組み方を見ると、
組子の8割も欠いてしまうと
その意見は当たらないとして、
意匠としてやったのではないか
いう意見もあります。

 

意匠だけなら、日本に限らず西洋にも
『ねじぐみ』と同じように隣同士が
裏返しになる組方を見つけました。

イタリア・ヴェローナにあるカルロスカルパ設計の
カステルベッキオ美術館で建具の格子です。
この建具はスチールでできているので、
組むのは容易にできたと思います。
その為、意匠として『ねじぐみ』
使っているのでしょう。
曲げるのが容易でない、
木材で知恵を振り絞って組んだ
組子を見つけるとすごい技に
感動すら覚えます。
みなさんも、格子や障子の組子を
見る時、気にしてみてるとひょっとすると、
『ねじぐみ』に出会えるかもしれませんね。