前回のブログで豊田市足助町新町・天王社さんの屋根工事が完了した記事を書きました。
僕の好みになるのですが、和瓦の波のような曲線がリズムよく並んでいる屋根は美しいなぁと思ってしまいます。
波のような曲線の湾曲したところに雨水が集まって、流れていく仕組みになっています。
この波のような曲線を持つ瓦ですが、その先端はどうなっているのでしょうか?
みなさん、見たことがありますか?
和瓦の下は板張りになっていてその板張りの上に瓦を釘留めする桟があります。
それらはいずれも直線の部材です。
直線の上に曲線を乗せると隙間ができますよね。
この様に瓦の曲線と屋根の直線部材との隙間を、総称して「面戸(めんど)」と呼びます。
なので、この軒先の隙間も「軒先面戸(のきさきめんど)」と呼びます。
「軒先面戸」には、もう一つ「雀口(すずめくち)」という呼び名があるのです。
この軒先の隙間に、雀が巣を作ることがあるため「雀口」と呼ぶようになったそうです。
写真では、雀が巣を作ったり、虫などが入らないように漆喰を詰めています。
漆喰のほかに木材を瓦の曲線に合わせて削って作った軒先面戸板などもあります。
それにしても、「雀口」って名前がかわいいですね。
台風10号が通り過ぎ、また暑い日が続くようですね。
でも、朝晩は涼しくなった気がします。
さて、台風接近によって足助町・天王社さんの瓦葺きが延期になっていましたが、
今週の月曜日から瓦工事が始まりました。
最近は、耐震性向上などの理由で板金屋根が増えてきていますが、
日本建築にはやはり、和瓦がしっくりきますね。
波型の瓦は雨の多い日本の気候に合わせて形作られてきました。
雨水は木造建築の天敵の一つです。
いかに早く雨水を建築物から遠ざけるか考えられています。
この地域は日本3大瓦の産地である三州瓦の生産地(高浜市)も近いため、質の高い瓦が手に入ります。
そして、何よりもこのいぶし銀の色が渋く光っていてカッコいいですね。
この現場は小さなお社です。屋根面積が小さいけれど、屋根は少し反った形になっています。
なので、いぶし銀の瓦を反った屋根の形に一枚一枚すり合わせながら、職人さんが葺いていきます。
普段何気なく見ている屋根かもしれませんが、職人技が入っているんですよ。
出来上がった時、ピシッと瓦が並んでいる屋根は建築物の品を高めてくれます。
竣工の姿をぜひ楽しみにしていてください。