外構の設計・施工も承っています。2018年03月20日

暖かい日も増えてきて、過ごしやすい季節になってきましたね。
庭の花や樹も芽吹いてきたり、花が咲き始めてきました。
ジンチョウゲの香りも魅力的です。

 

建築の仕事をするようになって季節の植物
多く知るようになりました。
それは建築を設計する時に外部と内部の関係性
強く意識するようになったからです。
日本建築をみても、魅力ある建築物は
自然を内部に上手く取り込んでいます。
日本の文化には、自然を愛でる楽しみがありますからね。

 

風とガレが設計する時には、
外部の自然と内部で過ごす人たちの繋がり
も意識して設計します。
その為、外構の設計も承っています。
昨日、外構工事の移植をしました。

3月中旬から4月中旬頃は移植に適した時期です。
必ずしもこの時期でないとダメということはありません。
10月から11月頃でも大丈夫です。
それでも、梅雨明けてから猛暑となる時期や
寒くて土が凍結するような時期に根を傷めるのは
避けるべきですね。

 

もうしばらくすれば桜の咲く季節ですね。
桜を愛でると気分もウキウキして、
新しいことの始まりが楽しみになりますよね。


WE LOVE とよたアワード 受賞!2018年03月12日

報告が遅くなってしまったのですが、
先日スカイホール豊田で開催されました
『WE LOVE とよたフェスタ』に出展しました。

WE LOVE とよたアワード

その時にエントリーした『WE LOVE とよたアワード』
なっ、何と!表彰されました。

賞状、WE LOVE とよたアワード

一級建築士事務所『風とガレ』日本建築の魅力
みんなに伝えていきたいと言う想い
民家再生・リノベーション専門の設計事務所として
昨年秋に開設しました。
その取組みの中で、日本建築の魅力やおもしろポイントを
解説した活動が評価されたのだと思います。
これからも生まれ育った豊田市を中心に
日本建築の魅力を多くの人に伝えられるように頑張ります。

 


切妻屋根 ~本棟造り~2018年03月05日

先日、『屋根のかたち【切妻屋根】』のブログの時に
本棟造りの写真だけ掲載できませんでした。
遅くなりましたが、本棟造りの写真を撮る事が
出来ましたので掲載します。

重要文化財の民家を訪れると文化財になるだけのことあって
建物の規模も大きくなりますし、貫禄も違ってきます。
しかし、それだと日常の物から離れてしまう気がしました。
そんな中、信州地方に出掛けた時に一般の住宅で、
本棟造りを見かけました。
最近となっては、見掛けることもなくなっていると思っていたのですが、
こうして日常風景の中に見かけると出掛けるのが楽しくなりますよね。

日本建築のおもしろ話やまじめ話を書いていきますので、
普段の景色や旅行先での景色を少し気にして見てください。
きっと何か見つけることができると思いますよ。
上の写真では、少し横からになってしまっているので、
裏側の写真になってしまいますが、もう少し本棟造りが
見える写真を掲載します。

日本の屋根・本棟造り


軒下の工作・駒寄せ2018年02月13日

道路に沿った町家などで建物と
道路際の軒下部分に人が建物に
近寄らないように、柵が設置して
あることがあります。
これを『駒寄せ』と呼んでいます。
ならまち、駒寄せ

『駒寄せ』は、近畿を主とする西日本に多いそうです。
この『駒寄せ』を設置する目的は、
棒切れの先で格子をカタカタ鳴らしたり、
壁などに悪戯するのを防ぐためのもの。

『駒寄せ』は高さ1メートル内外の低目の柵です。

駒寄せ

写真は駒寄せを横から見たところ。

 

また脚元の腐朽しないように対策の仕方もいろいろです。
柱に沓石をはかせておき、
三本の貫で組んで、中四本を浮かせている駒寄せや、

腐朽対策の駒寄せ

土台を回してその上で組んでいる駒寄せなどがあります。

駒寄せ

その他にも人の背丈ほどあるものもありますが、
それは『大阪出格子』と呼ばれています。
写真の様に出入口の前も柵を作って、
出入口部分を上吊りレールで、
引き戸としているものもある。
大阪出格子

こうして見ていると、日本建築を彩るいろいろな工作があるけれど、
どれもちゃんと意味を持っているのですね。

(参考文献:滅びゆく民家 屋根・外観)

 

 

 

 


屋根のかたち【切妻屋根】2018年02月09日

日本建築を見ていると意匠に
大きく関わってくる要素の一つとして、
屋根があります。
屋根にも色々な形があるので、
その屋根の形を紹介します。

今日紹介するのは、現代の家でも
一般的に目にする形の『切妻屋根』です。
切妻屋根は、厚紙を二つ折りにして、
二方向に雨が流れ落ちる様にした屋根のことを言います。

奈良井宿 切妻屋根

屋根の形の中で最も単純な形です。
切妻屋根の、雨の流れ落ちる屋根面を『平』と呼び、
側面の三角形に見える面を『妻』と呼びます。

同じ切妻屋根でも地方の特徴もあります。
全国的にも有名な飛騨地方の『合掌造り』
切妻屋根ですね。

切妻屋根、合掌造り

また、下の写真の様に屋根のてっぺん(棟部分)を瓦、
裾を板金葺き(昔は茅葺きとしていた)として
勾配を変えた切妻屋根です。
この形の切妻屋根は、大和・河内地方の『台棟造り』
呼ばれる切妻屋根です。

切妻屋根、大和棟造り

その他にも、信州地方の『本棟造り』なども有名です。
(写真がなくてすみません。)
また、こんな小さなところでも…。

塀の屋根、切妻屋根

地方によっていろいろな形の屋根を見る事が出来るので、
旅行に行ったときなどは、気にしてみてみるとおもしろいですよ。

(参考文献:滅びゆく民家 屋根・外観)


塗り家造りとむしこ窓!2018年02月03日

日本建築の外観は柱が見えていて、
その間に壁がある(真壁)スタイルを
思い浮かべる人がほとんどだと思います。
しかし、柱の外側に壁を塗って、
柱を壁で覆ってしまう(大壁)スタイルも
よく見てみると見掛けます(塗り家造り)。

これは民家が密集するようになり、
防火を目的として延焼しやすい軒裏の
板や垂木まで全てを塗り込んだそうです。
中二階風の部分の窓には、
土塗り格子をはめ込んであります。
この窓を『むしこ窓』といいます。

 

その中二階風の建て方でその屋根裏を
『厨子二階』とか『小二階』などと呼んでいますが、
この屋根裏二階の通気孔として開けられたのが
むしこ窓の発生だろうと言われています
むしこ窓も写真の様に丸窓に横貫にした意匠のものや
玉をかたどった意のものもあります。

関西の方では、下の写真の様な
火灯窓風の輪郭の意匠も多くみられるようです。

その他にもいろいろな意匠のものが見られます。


何気なく通り過ぎてしまう街並みも
よく見るといろいろと個性があって
おもしろいですよね。
(参考文献:滅びゆく民家 屋根・外観)


「なまこ壁」って何のため?2018年01月29日

前回は、土蔵がいつ頃から
建てられる様になったのか
について書きました。
今日は、土蔵によく見かける
『なまこ壁』について書きます。

 

まず、『なまこ壁」』とは何?
と言う方もいると思います。

上記写真の漆喰(土蔵の白い部分)下の
黒い部分が『なまこ壁』です。
この部分は、特に風雨が吹き付ける部分なので、
写真の様に瓦を壁に張り巡らして、
補強しているのです。
この様な造りは、全国的に見られるますが、
岡山県倉敷市などは
美しいなまこ壁の町としても知られています。

 

なぜ『なまこ壁』という名前が付いたかというと
瓦と瓦の隙間(目地)を蒲鉾型に
盛り上げた漆喰の断面が海鼠(なまこ)型に
なっているところから名付けられたそうです。
この目地部分を漆喰で盛り上げる方法に
なったのは、目地部分から水が浸透して
瓦の裏に水が回って、剥離を早めるのを
防ぐためです。

 

『なまこ壁』には斜めに瓦を張った意匠が
多く見られますが、上記の写真の様に
竪目地を交互にした馬乗り目地のものもあります。
しかし、斜めに張った方が目地の水はけが
良くなると考えられたので、斜めに張る
『四半貼り』が一般的な形として広まったそうです。

(参考文献:滅びゆく民家 屋根・外観)

 

 


土蔵っていつからあるの?2018年01月18日

昔ながらの家々が建ち並ぶ街並みを
歩いていると土蔵をよく見かけます。
土蔵はその名の通り蔵ですから、
大切なものを保管しておく建物です。

歴史的街並み、土蔵、蔵造り
米蔵、道具蔵などの様に保管するもので
蔵の名前が付いたりしていました。

 

日本建築で大切なものを保管する建物と
言われてパッと思い浮かべるのは、
この土蔵だと思います。
しかし、古くは校倉造りで有名な
正倉院も当時の宝物を保管する建物でした。
木造の倉庫からいつの間にか土壁の倉庫に
変わっていました。

 

外装塗篭仕上げの蔵が記録として残っているのは、
平安時代末期の公卿である藤原頼長の日記と
言われている『台記』に記載されている。
それには、自邸内に文倉を建てた。
その文倉の四壁はすべて板で作られ、
その上に直接石灰を塗ったことが記されているそうです。
これは、板壁に石灰を塗っただけのもので、
土蔵の様に厚壁にはなっていません。
しかし、外装塗篭の発想が土壁工法の土蔵に
発展したと考えられています。
頼長の文倉から約一世紀半後の
『春日権現験記絵巻』(鎌倉時代の絵巻物)の中に
後年の土蔵と同じものが描かれています。
この時代には、もう土蔵になっていたのですね。

(参考文献:物語 ものの建築史 日本壁のはなし)