日本建築の調査をしていると
時どき職人の凄い技術を
目の当たりにして、
感動することがあります。
その一つに『ねじぐみ』があります。
残念ながら私も数回しか
お目にかかれていないので、
写真はありません。
では、『ねじぐみ』とは
どんな技術なのかというと
格子や組子を組む際、
組み手を縦横すべて隣同士が
裏返しになるように、
つまり、竹かごを編むように組む方法です。
格子や組子は竹のように曲がらないので、
普通には当然組めません。
そこでまるでパズルを解くように
考案されたのが『ねじぐみ』なのです。
昔は糊の粘着力が現代ほど強くないため、
組子が外れ易くなってしまうのを、
『ねじぐみ』によって外れ難くする工夫と
言われたりもしています。
ただ、実際の『ねじぐみ』の組み方を見ると、
組子の8割も欠いてしまうと
その意見は当たらないとして、
意匠としてやったのではないかと
いう意見もあります。
意匠だけなら、日本に限らず西洋にも
『ねじぐみ』と同じように隣同士が
裏返しになる組方を見つけました。
イタリア・ヴェローナにあるカルロスカルパ設計の
カステルベッキオ美術館で建具の格子です。
この建具はスチールでできているので、
組むのは容易にできたと思います。
その為、意匠として『ねじぐみ』を
使っているのでしょう。
曲げるのが容易でない、
木材で知恵を振り絞って組んだ
組子を見つけるとすごい技に
感動すら覚えます。
みなさんも、格子や障子の組子を
見る時、気にしてみてるとひょっとすると、
『ねじぐみ』に出会えるかもしれませんね。