天王社さんの調査です。2023年06月29日

ブログ更新が久しぶりになってしまいました。

 

梅雨でジメジメしてい蒸し暑いですね。

 

 

 

先日、足助・新町地区にある天王社さんの実測に行ってきました。

 

小さい建築物ですが、日本建築の要素が盛りだくさんです。

 

 

社建築の屋根の妻側(写真上)をよく見ると、

 

屋根は微妙にカーブがかかっている。

 

直線ではないです!

 

この曲線によって懐を大きく取りながらも、

 

正面から見たときに、軒先が接近してこない意匠(写真下)になります。

 

 

もし、屋根が直線だったら軒はもっと低くなり、接近してくる感じが出てしまいます。

 

 

 

来年度もしくは再来年度にこの社の修繕工事を予定しています。

 

その為の実測調査です。

 

現況の状態を図面にして、修繕内容を検討します。

 

キレイになる社が楽しみですね。


土蔵の花形は漆喰彫刻!豊田市足助地区の漆喰彫刻は凄い!2019年04月08日

先日、『WE LOVE とよたフェスタ』で
パネル展示した豊田市足助地区の
鏝絵(漆喰彫刻)を紹介します。
今回紹介する漆喰彫刻は
以前のブログで『鏝絵』について
書いたときにも登場しています。

 

屋根の花形と言えば、鬼瓦と言われますが、
左官の花形は、やはり鏝絵(漆喰彫刻)ではないでしょうか。

この鏝絵(漆喰彫刻)は土蔵の壁に
よく見掛けることができます。
多くは、家紋であったり『水』といった文字であることが多いです。
そんな中でも、職人さんの技術の高さを感じさせるほど
手の込んだ鏝絵(漆喰彫刻)も見ることができます。
それを豊田市足助地区の土蔵で見掛けたのです。

このうねりを打った龍の鏝絵(漆喰彫刻)は
細部の鱗までしっかり鏝で押さえてあります。
当然時間と手間が掛かっていることは
一目瞭然ですが、それだけでなく職人さんの
技術も高くないとなかなか見ることはできません。

 

正直、豊田市にここまでの技術の鏝絵(漆喰彫刻)を
見ることができるとは思っていなかったので、
見つけた時は驚きました。
まだまだ日本建築の伝統技術が
思わぬところで見ることができるかもしれませんね。
また、素敵な伝統技術を見つけることができたら、
紹介しますね。お楽しみに!


豊田市足助地区にある重要文化財・旧鈴木家住宅が一般公開!2019年03月07日

少し前になるのですが、
豊田市足助地区にある重要文化財・旧鈴木家住宅
保存修理工事途中を見学できる一般公開がありました。
普段では見ることのできない日本建築の裏側が
見学できるイベントです。
工事途中なので完成してからでは隠れてしまう部分が
見学できることも嬉しいのですが、
工事途中ですと仮設足場があるため
屋根など高い所も見学できるのも楽しみのひとつですよね。

 

今回の一般公開では屋根裏を見学できました。

見えないところでもしっかりした材料を使って
丁寧な仕事がしてあります。
なぜかと言うと、使ってある木材の変形や捻じれが
大きくないことと伝統工法による梁組部分のすき間が少ないこと。
そして、屋根裏で見えない束(梁の上にある短い柱のよう部材)も
角材に製材されているからです。
そして、百何十年前の大工さんが手掛けた仕事が
今もなお当時と変わらず残っている技術には脱帽です。

 

実はこの旧鈴木家住宅にもおもしろポイントがありましたよ。
妻壁によく見ると……。

何か着いている!!
工事担当者さんの話だと初めは地棟飾り
思っていたそうですが、屋根を解体してみると
地棟と関係ない高さに取付けられていることが判明。
よくよく見ると鳥の巣箱だったそうです。
こんな所に鳥の巣箱を取付けるなんて
家主さんの粋な計らいですネ。


とても立派な茅葺き屋根の門がありました。2018年12月23日

先日豊田市足助地区を車で走っていたら、
何と立派な茅葺き屋根の門を偶然、見つけました。
茅葺き屋根自体を見掛けることも少なく、
また最近では門も簡単なものになってきている中で、
とても貴重な存在です。

日本建築において、門の役割は幾つかあります。
ここでは、住まいの門なのでその観点で書こうと思います。

 

門の最も素朴な役割は、人を通すか否かの制御です。
住まいの門は、『通す門』の意味合いが強くなります。
この通す門は、囲むことで確保された領域に
人が出入りするために設ける開口部、
またはその位置に設けられる建築工作物が
門ということになります。
住まいの門となると、外から戻ってきた人たちは
門を入る時に我が家に帰ってきた事を実感する。
また、客人を温かく迎え入れるための門にもなります。
そこを訪れて入る客人に、門を潜るということは
その領域の慣わしに従うという暗黙の了解を暗示する
心理的な意味合いも持つそうです。

 

門には色々な意味合いがあるんですね。
また別の機会に他の門の事も書こうと思います。

参考文献:和風建築シリーズ2 数寄の意匠 門
発行所:建築資料研究社